Room75 数学へのいざない~素数

  • 岡本会場 2020年1月18日(土)
  • 岡本会場 2020年1月29日(水)
  • 岡本会場 2020年2月7日(金)

講習時間・参加費用

※会場別に異なりますので
 右の申込み欄をご確認ください

※終了後の交流会費用は別途

開講会場

岡本会場

三宮会場(レ・ヴィーニュ)

東京会場

申込方法

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キャンセルの場合

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サロン開講によせて

手元に暗黒通信団という怪しげな名前の集団が発行した「素数表」がある。ここには、15万個の素数がぎっしりと並べられている。巻末に「Q なにを血迷ってこんな本を作ったんですか?」「A そんなふうに思う人はこの本を買わないと思います。」と書いている。オーナーは、そんなふうに思わない部類の人間らしい。さて、この素数表が役に立つ日がやってきた。今回のテーマは、素数である。

原子が物質を構成する要素であるように、素数は数を構成する要素である。素数とは、1と自分自身しか約数を持たない特別な数であり、ほかの数は、すべて素数の積で表すことができる。数学の一つの分野に数論というものがあって、整数の性質を探求することが目的である。その数論の研究テーマで、素数は最高レベルの素材を提供する。素数がわかれば、数のことがほぼわかったことになると言っても過言ではない。しかしである。その素数は真の姿をなかなか見せてくれない。素数が現れる規則を、数学者は古代ギリシャの時代から何世紀もわたって取り組んでいるが、いまだ、パターンは全くわかっていない。素数は気まぐれにやってくるのである。

素数が無限に存在することは、古代ギリシャのエウクレイデスが証明している。この証明は、実にエレガントである。有名な方法なので、ご存じの方もおられるだろう。人類の知恵がつまった最高に美しい証明とえいよう。ただし、エウクレイデスでも、素数の出現パターンについては、何も書いていない。エウクレイデスの時代から2000年ほど経った18世紀のドイツに、一人の天才少年が現れた。フリードリッヒ・ガウスである。ガウスの少年時代のエピソードは有名である。ある日、少し休憩したいと考えた先生が子供らに「1から100まで足したらいくらになるか」という問題を出した。ところが、ガウスは一瞬で公式を考え、正しい答え(5050)を出してしまい、気の毒な先生はあてが外れてしまった。ガウスは数学、物理、天文学の分野で多くの素晴らしい業績を残しているが、素数に関して、決定的に重要な発見をしている。それは、素数の個数に関する定理で、現在、素数定理と呼ばれている。その後素数定理は、ベルンハルト・リーマンが証明を試みる中で、数学の超難問といわれるリーマン予想というものに発展した。この予想が証明されると、素数の神秘に一歩近づくとのことである。しかし、150年経った現在でも、リーマン予想は未解決のままである。

今回のサロンは、素数について、一通りの基本を学ぶ。素数に関する定理は、難易度が高く、証明も簡単に説明できるものではない。我々は数学者ではないので、あまりに専門的な内容は知る必要はない。それでも、数の本質に迫るという素数の不思議に触れることは、ほかのサロンのテーマと同じように、知性のレベルが一つ上がるといっていいだろう。素数表はふつうは仕事や生活に直接役立つものではないが、今日の教養サロンでは、主役になれる。暗黒通信団に感謝したい。