Room67 数学へのいざない~次元

注) 下記の講座は終了しました

  • 岡本会場 2019年1月26日(土)

講習時間・参加費用

※会場別に異なりますので
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※終了後の交流会費用は別途

開講会場

岡本会場

三宮会場(レ・ヴィーニュ)

東京会場

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サロン開講によせて

次元というと、何やら難しい響きがあるが、身近なところでたまに見聞きする。ウサイン・ボルトが2009年のベルリン世界陸上で100メートルを9.58秒で駆け抜けたとき、世界は彼の異次元の走りに驚愕したという場合の異次元は、われわれの住む世界が三次元空間+一次元時間=4次元時空間であることを前提に、この四次元では考えられない走りという意味だと思われるが、観念的な用法である。一方、ドラえもんの四次元ポケットとなると、ポケットの内側が四次元空間(ワームホール)につながっていて、のび太を助ける様々な秘密の道具がこの中の四次元倉庫に収納されていることから、物理的にはある程度正確な用法であるといえよう。さらに、アニメのキャラクターは二次元、実写は三次元という言い方をするが、それぞれ、平面、立体を表わしているから、これも数学的に適切な用法であろう。いずれにしても、ここで使われている次元は、時空に関するものである。

また、次元は、ほかの使い方として物理単位に関係した用語でもある。力の単位は、かつてはkg重と呼ばれていたが、現在は国際単位系(SI単位)ではニュートン(N)で統一されている。これを、基本単位である質量(kg)、長さ(m)、時間(s)を用いて表すと、[N]=[kg][m][s]₋2となるが、この単位を[ ]で括ったものを「量の次元」と呼ぶのである。量の次元の関係式は、左右の次元が等しいので、この性質を利用して、未知の量の単位を推定するという次元解析という手法がある。かつて、米国で原爆実験をしたときに、発生したきのこ雲の大きさと、次元解析のみで、おおよその爆発エネルギーを推定した科学者がいたという話を放送大学の講師が解説していた記憶がある。原爆を題材にするのはどうかと思ったが、その数理的な手法の見事さには驚いたものである。

さらに、難しい話になると、数学でn次元の多様体というものがある。また、自然の四つの力を統一する究極の理論候補と言われる超ひも理論では、なんと、10次元時空などというお化けがでてくる。4次元以上の高次元となると、われわれは実体をイメージできないが、数学者は正確に定義する。3次元の立方体はサイコロの形だからすぐにイメージできるが、4次元空間の立方体(超立方体)となると人間には想像できない。ただし、この4次元空間の超立方体の3次元空間への射影(3次元空間の立方体の2次元空間への影に相当)は、どこかで見たことがある形になる。それは、サロンでも何度かご紹介したことがあるが、針金を立方体の辺にかたどり、それをシャボン液につけてできる膜の形である。今回のサロンでも、実際に再現してあの感動をよみがえらせたい。

今回のサロンでは、以上のような、様々な顔をもつ次元について、理解を深めていく。次元の話を詳しく聞く機会はまずないだろう。いかにも、教養サロンらしいテーマの一つである。