Room24 美術へのいざない~エッシャー

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注) 下記の講座は終了しました

Room24では、天才版画家M.C.エッシャーをピックアップします!
M.C.エッシャーをご存じでしょうか。版画家なのですが、
彼の紹介文には必ず、「版画家」以外のタイトルが複数くっついています。
例えば、グラフィックアーティスト、トリックアートの奇才、幾何学的アプローチの名手などなど。

 

彼の作品のモチーフは自然や生物なのに、それがとても規則正しいパターンで描かれていて、
パターンなのに、そこには変化や循環がしっかり感じられるから不思議です。
こんなに優れたデザインが次々生み出される時代にも関わらず、
全く色褪せることなく、圧倒的なインパクトとなんともいえないキレの良さで迫りくる感覚、
多くの数学者や物理学者を魅了してやまないエッシャーの世界、ぜひ堪能ください!

  • 神戸会場 2013年9月7日(土)
  • 大阪会場 2013年10月10日(木)

講習時間・参加費用

※会場別に異なりますので
 右の申込み欄をご確認ください

※終了後の交流会費用は別途

開講会場

岡本会場

三宮会場(レ・ヴィーニュ)

東京会場

申込方法

参加申込はご希望の日時を選択頂き、申込ボタンを押下して下さい。

キャンセルの場合

テキストの準備のため、キャンセルされる場合は開催日の3日前までにご連絡ください。
それ以降のキャンセルに関しては、テキスト代+送料計4,000円(税込)をお支払いただきますので、予めご了承ください。
テキストはご指定の住所宛てに郵送します。到着後、同封のご請求書記載の
パスカル銀行口座までお振込願います。(振込手数料はお客様ご負担となります)

サロン開講によせて

エッシャー(M.C.ESCHER、1898~1972)は、20世紀のオランダが生んだ天才版画家である。無限に水が流れ続ける「滝」、畑模様が 徐々に鳥に変化していく「昼と夜」、2次元の絵から出てきた3次元のトカゲがリラックスして一服した後また絵に戻っていく「爬虫類」、現実にはあり得ない いわゆるだまし絵の「物見の塔」、互いの手を描きあう「描く手」などの作品を私が初めて見た時は衝撃的であった。こんな奇妙な絵は見たことがなかったが、 面白くて惹かれる。実に不思議な作品だ。エッシャーは数学者ではないのに、そこには、シンメトリー、正則分割、双曲幾何学などの数学的要素が満載である。 初期の作品には、風景画や動植物画があるにはあるが、それでも、そこにはどこか数学的な構成美が秘められていて、単なる美術作品とは明らかに一線を画して いる。「変容(メタモルフォーシス)」「循環」「無限」はエッシャー芸術の重要なテーマとなっている。まさに数学とアートの融合である。教養サロンのテー マとして、取りあげないわけにはいかない。

私がエッシャーに初めて出会ったのは、40年近く前、科学雑誌サイエンティフィック・アメリカン(日本語版:日経サイエンス)の中で、マーチン・ ガードナーが長年連載していた数学ゲームというコラムで紹介されたときだったと記憶する。エッシャーの作品は美術界では当初無視されたようだが、数学者や 科学者にとっては、その幾何学的な美しさや結晶構造との関連性などに注目が集まった。だから、平面をシンプルな図形で埋め尽くす平面充填の分野では、エッ シャーの作品が題材としてよく取り上げられる。2009年まで東大教授だった杉原厚吉氏は、2006年と2007年に東大教養学部の全学自由研究ゼミナー ルにおいて「視覚の数理:エッシャーの秘密を数理で探る」というテーマでエッシャーを扱い、学生に平面充填またはだまし絵の製作を課題レポートとして出題 したというから面白い。私が在学中であったら何を置いても絶対に参加していただろう。エッシャー展がたまにどこかの美術館などで開催されるので、その不思 議な作品に触れる機会はある。ハウステンボスでは開園当初から「ミステリアスエッシャー」という3D映画が上映されていて、エッシャーの不思議な世界を堪 能できる。私も何度かハウステンボスに行ったが、そのたびにこのアトラクションを何度も楽しんでいる。20年以上同じ内容なので、そろそろ中身を変えて欲 しいとは思うが。

というわけで、今回の教養サロンは、このエッシャーがテーマである。エッシャーの珠玉の作品を鑑賞しつつ、その中に秘められた数理に迫る。あわせて、版画技法についても触れてみたい。