Room53 数学へのいざない~行列とベクトル

注) 下記の講座は終了しました

  • 神戸会場 2017年4月22日(土)
  • 大阪会場 2017年5月29日(月)

講習時間・参加費用

※会場別に異なりますので
 右の申込み欄をご確認ください

※終了後の交流会費用は別途

開講会場

岡本会場

三宮会場(レ・ヴィーニュ)

東京会場

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サロン開講によせて

2017年度第1回のテーマは、行列とベクトルである。昨年度の複雑系に続く数学のテーマである。

ベクトルとは何だろうか。そんなもの知らなくても困らないと言われそうであるが、実は、私たちはほとんど毎日ベクトルのお世話になっているのである。例えば、テレビの気象情報で表示される天気図には、風の矢印が出てくるだろう。あれはベクトルの典型的な例である。ベクトルとは、大きさと方向を持った概念であるが、風の場合は、風速と風向を表す。視覚的にとてもイメージが湧く。運動を表すときにもベクトルが役に立つ。例えば、風を受けながら進む船の動きを分析するには、ベクトルなしではむずかしい。ところで、オーナーはベクトルにある思い出がある。それは、クラブ活動で軟式野球をしていた中学1年か2年のとき、同じ野球部にいた友人が、ベクトルを使えば、複雑な幾何の証明問題が、たった数行で解けると言ったのである。まさかと思ったが、その後、ベクトルを学んだときに、彼の言ったことが本当であることが分かった。論理の問題が、ベクトルを使えば視覚の問題に変換されるのである。これは、衝撃であった。

一方、行列といえば、普通はATMでの待ち行列などを思い浮かべることだろう。しかし、数学の世界で行列とは、数字や文字が横(行)と縦(列)に整然と正方形または長方形に並べられた一組の数を表す。オーナーが、行列という数があることを初めて知ったのは、やはり中学1年生ときである。神戸大学を卒業したばかりの新進気鋭の数学教師が、数学の初日の授業で黒板に分数や無理数などのいろんな数を書いたあとに、行列という数もあるよといって、おもむろに括弧でかこまれた数字の集まりを書いた。そのとき、一体これが何を表すのか知りたかったが、その実態を知ることになるのは、大学1年の線形代数という授業まで待たねばならなかった。そして、またここでも衝撃的であった。行列を使えば、複数の要素が関係する複雑な現象を、非常に体系的かつ機械的に処理することができるのである。例えば、複数の原材料の値段が変化したときに、それによって生産される複数の製品の価格がどのように変化するのかが、すっきりと一目でわかるようになる。そのほか、行列の非常に強力な威力として、連立方程式の解法がある。我々が問題で解く連立方程式といえば、2元かせいぜい3元までだろう。それ以上、例えば、10元連立方程式を解くなど、手計算ではほぼ不可能である。やり方としては、消去法と代入法の組み合わせであることはわかっているが計算がややこしすぎる。そこで、行列の出番である。行列から派生した行列式という魔法のような数を使うことで、どんなに複雑な連立方程式も、機械的な手順で解けるようになるのである。

今回のサロンでは、行列とベクトルの基本をおさえたうえで、それが、どのように役立つのかをできるだけわかりやすく解説する。そこでは、集合、写像、線形結合など、やや専門的な言葉や概念がでてくるが、複数の要素が複雑に絡む世の中の動きを統一的に視覚的に理解する人類の知恵として、一度は触れておくのも悪くないと思うのであるがどうであろう。