Room21 現代社会へのいざない~エネルギー

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注) 下記の講座は終了しました

3.11以降の再生可能エネルギー導入の加速、アメリカのシェールガス革命、
ホルムズ海峡封鎖危機、日本のメタンハイドレード採取成功。
エネルギーを巡って各国と関係する様々なビジネスが激しく蠢く昨今です。
現代社会はまさにエネルギー争奪戦の歴史。
これまでの経緯と現在の闘争の構図はもちろん、
エネルギーの総量や消費実態、新エネルギーの可能性等については
ビジネスパーソンとしてよく理解しておきたいところです。

スウェーデンの環境衛生学者ハンス・ロスリングさんの
TEDプレゼンテーションでのメッセージがとても印象的でした。
「先進国の人々が途上国の人々に対して、エネルギーの消費量を
抑制するよう促すことはフェアじゃない」
GW休暇明け、風薫る5月の土曜の午後。
国際社会で生きる個人としてエネルギーとどう向き合っていくのか、
いろんな角度から考えてみませんか。

いつもの通り、ご友人・ご家族とのご参加大歓迎です。
お申込みはお早目にどうぞ。

  • 神戸会場 2013年 5月11日(土)
  • 大阪会場 2013年 6月1日(土)

講習時間・参加費用

※会場別に異なりますので
 右の申込み欄をご確認ください

※終了後の交流会費用は別途

開講会場

岡本会場

三宮会場(レ・ヴィーニュ)

東京会場

申込方法

参加申込はご希望の日時を選択頂き、申込ボタンを押下して下さい。

キャンセルの場合

テキストの準備のため、キャンセルされる場合は開催日の3日前までにご連絡ください。
それ以降のキャンセルに関しては、テキスト代+送料計4,000円(税込)をお支払いただきますので、予めご了承ください。
テキストはご指定の住所宛てに郵送します。到着後、同封のご請求書記載の
パスカル銀行口座までお振込願います。(振込手数料はお客様ご負担となります)

サロン開講によせて

私が通産省資源エネルギー庁で日本のエネルギー政策の長期ビジョンを立案していた1985年は、原油価格がバーレル10ドルという超原油安の時代で あった。シェールガス・オイルは膨大な埋蔵量があることは当時から分かっていたが、経済的にペイするには原油は100ドル以上でなければならないという分 析もした。そこで、エネルギー資源に乏しいわが国のエネルギー政策の基本は、①石油、天然ガスなどの化石燃料、②核燃料サイクルが実現できれば準国産エネ ルギーと位置づけられる原子力、③太陽、地熱、などの再生可能エネルギーの3本柱を、安定供給、経済性、環境影響の3つの観点から、概ね3分の1ずつで構 成することがベストミックスであると提言した。今ではもう手に入らないが、提言の内容は「21世紀エネルギービジョン」として出版された。

あれから30年近く経過して、世界と日本のエネルギー事情はすっかり様変わりしてしまった。

①化石燃料は、原油価格はバーレル100ドルとなり、米国ではシェールガス・オイルの開発が進み、まもなく世界一の産油国となるが、すでにガスの 価格下落で倒産した企業も出始めている。日本近海においても、メタンハイドレートが大量に存在することが判明し、これが経済的に採掘できるとなると日本も 資源保有国となる。

②原子力は、福島原発事故によって国民の信頼が完全に失われた。これまで営々と築き上げてきたエネルギー政策と推進体制の全面的見直しが行われて いる。大飯原発3,4号以外の運転再開がいまだに見通しが立っていない。電力会社は天然ガスを追加で大量に輸入し、貴重な化石燃料を燃やして二酸化炭素を 撒き散らす結果となった。また、アベノミクスへの期待から始まった急速な円安も重なり、電力会社の経営状態が悪化、すべての電力会社で大幅な電気料金値上 げが実施されることになった。

③自然エネルギーは脱原発政策の象徴的存在となり、民主党政権は昨年7月に個人や企業が行う太陽光・風力発電の固定買取価格制を導入した。特に太 陽光発電は平成24年度に関しては42円/kWhを20年間買い取るという破格の条件が適用されている。電力会社はこのコストをすべて消費者に上乗せする のである。自然エネルギーを欧米並みに増やすという意気込みはわかるが、日本という国は、淡路島に風力発電機を1本立てるというだけで、猛烈な反対派が押 し寄せ実現には10年近くかかるというお国柄である。また、国立公園内での地熱発電建設は、温泉業者の反対でなかなか進まない。固定買取制については、 25年度の太陽光発電は37.8円に決定されたように、すでに見直しが始まっている。

原子力をなくせと言うだけなら誰でも言える。いまさら、私は原子力を弁護する気はさらさらないが、モノを言うなら、国民は日本の地政学的な実情を よく理解し、またエネルギーそのものについてよく勉強してから発言すべきであると常々感じている。福島事故の直後の2011年5月に、教養サロンでは臨時 特別Roomとして「原子力」をとりあげた。原子力発電の仕組みや重要な事故について解説を行い、好評を得た。今回は、エネルギー全体について扱うことに する。そもそもエネルギーとは何か、どのようなメカニズムで利用するのか、世界の資源量、原子力、再生エネルギーの現状、そしてその課題について解説を行 う。福島原発事故について、現段階での総括も試みたい。その上で、今後の日本のエネルギー政策のあり方について、冷静に科学的に考えることができるように なっていただきたいと思っている。